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「武蔵野」の範囲はどこからどこまで?

2021年8月4日

広報部Oです。

前の投稿でお知らせした
『住協フォトコンテスト2021』
の「一般部門」では「武蔵野エリアで撮影した写真」を募集しているのですが、じゃあ「武蔵野」はどこからどこまでなの?って疑問に思いませんか。
「武蔵野うどん」ってどこの郷土料理なの?
不動産の広告でも使われる常套句「武蔵野の面影残る」は、どこの物件なら使えるの?
今回「武蔵野」の写真をフォトコンテストで募集するにあたって、ちょっと深堀りして考えてみました。
武蔵野の面影残る雑木林写真は、私が「武蔵野の面影」を強く感じた(埼玉県川越市下松原の雑木林と馬頭観音)
住宅街からも程近い場所に、こんな鬱蒼とした雑木林が現れる光景に「武蔵野」を感じるようです。
武蔵野の面影残る雑木林

フォトコンテストの応募規定としては、便宜上、「武蔵野エリア」=住協グループの支店・事業所の有る自治体と、その近隣自治体として、
・埼玉県:所沢市、入間市、狭山市、飯能市、日高市、毛呂山町、川越市、坂戸市、鶴ヶ島市、ふじみ野市、富士見市、三芳町、志木市、朝霞市、新座市、和光市
・東京都:練馬区、板橋区、新宿区、中野区、杉並区、西東京市、東久留米市、清瀬市、東村山市、武蔵野市、三鷹市、小金井市、小平市、国分寺市、立川市、東大和市、武蔵村山市、瑞穂町
としました。

もちろん、ここは違うんじゃないの?ここも入るんじゃないの?というご意見もあるとおもいます。
私も、埼玉県西部で生活するようになって10年以上が経った今では、自分なりの「武蔵野」の範囲がありますが、万人が納得するものではないはずです。

そこでWikipediaを見てみると
・広辞苑によると「埼玉県川越以南、東京都府中までの間に拡がる地域」であり、また広義には「武蔵国全部」を指すこともあるとされる。
・江戸後期に出版された『江戸名所図会』は、「南は多摩川、北は荒川、東は隅田川、西は大岳(大岳山)・秩父(秩父山地)を限りとして、多摩、橘樹、都筑、荏原、豊島、足立、新座、高麗、比企、入間等すべて十郡に跨る」と解説している。
・1898年(明治31年)に国木田独歩は随筆『武蔵野』で、友人の言葉として以下のとおり引言し、武蔵野の地理的範囲の再定義を試みている。
「武蔵野は先づ雑司谷から起つて線を引いて見ると、それから板橋の中仙道の西側を通って川越近傍まで達し、君の一編に示された入間郡を包んで円く甲武線の立川駅に来る。此範囲の間に所沢、田無などいふ駅がどんなに趣味が多いか…殊に夏の緑の深いころは。さて立川からは多摩川を限界として上丸辺まで下る。八王子は決して武蔵野には入れられない。そして丸子から下目黒に返る。此範囲の間に布田、登戸、二子などのどんなに趣味が多いか。以上は西半面。 東の半面は亀井戸辺より小松川へかけ木下川から堀切を包んで千住近傍へ到つて止まる。この範囲は異論があれば取除いてもよい。しかし一種の趣味があつて武蔵野に相違ないことは前に申したとほりである。」
とありました。
他には、「武蔵野台地」の上=「武蔵野」という説も。
こんな感じで、どうやら明確に「ここからここまでが武蔵野」という定義は無いようです。それにしても、明確に否定された八王子は、独歩さんに嫌われていたんでしょうか…
↑南を多摩川、西を入間川、北を荒川に囲まれた、中央のオレンジ色の部分が、だいたい武蔵野台地。
※出典:国土地理院「地理院地図」の土地条件図

私が上でアップした写真のような「武蔵野の面影」イメージや、武蔵野の範囲は、学生の頃に読んだ国木田独歩の『武蔵野』の影響が大きいのですが、世の中的にも“武蔵野のイメージ”の形成に多大な影響を与えているのは間違いないようです。
この『武蔵野』という作品、明治中期の作だけあって、文体が古く、最初は読みにくく感じるのですが、今でいうとエッセイのような文章で、さほど難しい内容ではありません。
簡単に言うと、「武蔵野推し」の独歩さんが、ただひたすらに、いかに武蔵野が美しく、趣深く、唯一無二で素晴らしい場所かを語りまくるという作品です。

「武蔵野を除いて日本にこのやうな処がどこにあるか。北海道の原野にはむろんのこと、奈須野にもない、そのほかどこにあるか。林と野とがかくもよく入り乱れて、生活と自然とがこのやうに密接している処がどこにあるか。」
という一文は、少し崩せば、現代の不動産の広告でもキャッチとして使えるんじゃないでしょうか。

ちなみに国木田独歩の作品は、著作権が切れていますので、著作権フリーの作品が集まった青空文庫で読むことができます。
国木田独歩『武蔵野』

明治の頃に独歩さんが萌えたような「武蔵野の面影」残る場所は随分と減ってはきていると思いますが、今でも「武蔵野」と呼ばれるエリアには、生活と自然が密接した、暮らしやすい場所が残っているのです。
このブログでは、引き続きそんな場所も紹介できればと思います。


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