二世帯?近居?

入間支店長 遠藤克仁

気さくで優しい、楽天家であり、常に今を生きることをモットーとしている。明日できることは明日やる。 これは物事を先延ばしにすることを意味するのでなく、常に今やらなければいけないことに立ち向かう、というもの。 だから、今日できることを明日やろう、という考えを持った社員に対しては、真剣に叱ることができる。チャームポイントは笑顔。

木造ハウジングコーディネーター/損害保険募集人/住宅ローンアドバイザー

お客様の約2割ほどでしょうか。二世帯や近居を望まれる方がいらっしゃいます。ご来店も色々なケースがあり、 子世帯だけで相談に来られる方、親世帯だけ、両世帯の家族の皆さん、など、そのご家族様によって様々です。

ある日のこと、親世帯ご夫婦で来られたお客さまが二世帯住宅を探している、と相談にみえました。 1階、2階のセパレートタイプの住宅をお望みで、土地のご希望なども詳細にお聞きしました。スーパーが近いこと、お孫さんの小学校が近いことが主なご希望でした。

さて、二世帯住宅を探す際は細かな配慮が必要になります。異なる世代が一つ屋根の下に住むのですから、様々なことが想定されるわけです。よくある嫁姑問題なども起こりうるわけですね。

ご家族一人ひとりの年齢をお聞きし、暮らし方、例えば寝室は和室が良いのか、洋室なのか、掃除は毎日する方か、 洗濯はどうか、料理にこだわりはあるか、など、細かにヒアリングしていきます。このヒアリングは経験上とても大切です。
ご希望にあう物件をいくつかピックアップし、そのうえで翌週に子世帯も一緒にご来店していただきました。

子世帯の奥様、ご主人様にも、細かなヒアリングをしていきます。 いくつか質問をしていた時に、僕は直感で「あ、このお客様はご一緒にお住まいになられない方がよさそうだな」と感じました。 細かな説明は省きますが、子世帯は独立心が強く、生活スタイルが異なることが親世帯との最大の違いでした。
たとえば、掃除は気づいたときにする、とか、料理は洋食がメイン、外食も多い、ご主人様のお帰りも仕事で遅くなることも多い、などです。

僕は1974年生まれのいわゆる団塊ジュニア世代ですので、昭和を生きた親世代のことがよくわかります。 自由さやモノに不自由しない生活を送れる平成の世代とは隔たりがあるのも事実です。 もちろん、このギャップがうまくはまっているご家族もあります。一口に言えることではないところがまた人間の面白さでもあります。


この日は、いくつかの物件をご紹介するにとどめ、また翌週ご来店したいただく約束を交わしました。
翌日、子世帯の奥さまより連絡がはいり、奥様は二世帯にあまり乗り気でないことを僕に打ち明けてくれました。 「両親のことは大好きですけど 、やはり私たちだけで暮らしてみたい願いが強いですし、主人もそれを強く望んでいます。両親の住んでる家は傷んでしまっているし、買い時であることはわかっているのですが……。 プライバシーのこともありますし、どうすればうまくいくのでしょう?」

翌週の2回目のご来店の際に、お父様、お母様に「息子さまご夫婦は独立心を強くお持ちである」「夢を叶えたい」ということそれとなくお伝えしました。
お母様は「でも家ももう古いし傷んでるからリフォームするくらいなら住み替えたいし、孫の顔もみたいし……二世帯がいいわ」と仰いますし、お父様もそれに同意しておられます。

さて「スープが冷めない距離」とは良く言ったものです。僕は第二の提案で「近居」をおすすめしました。このご家族の場合は近からず、遠からず、ではなく同現場内に居を構えれば一番うまくいくと考え、新築多棟現場をご紹介したのです。 具体的に申しますと、開発道路をはさんで斜め前の家をご紹介したのです。「スープが冷めない距離」ではなく、「スープがあつあつの距離」の家です。
とはいえ、お父様、お母様からすれば、この先の不安もございます。もしも順番で人生を全うし、どちらかが先に逝ってしまう時は、売却するか賃貸に出し、 息子さんのご家庭に住む、ということもできますよ、ということを伝え、住協であれば、住まいの賃貸も売却も得意としていることを申し上げました。 また、そしてその距離感はお互いとても幸せな毎日をすごせるはずだということを伝えさせていただきました。


そして、同一現場内に2つの家をご購入いただき、7年が経過します。時々僕は連絡するのですが、家族みんなでワンボックスに乗ってバーベキューにでかけたりととても仲良くやってるそうです。 お母様は今では自分の庭のガーデニングにすっかりはまったそうで、うちの庭をこの近所で一番きれいにするんだと、以前よりも若返り、健康的な暮らしをするようになったとか(笑)


家さがしの答えは一つでない時もたくさんあります。ですから、お一人で悩まずに、相談していただくことで道が開けることもあるのです。 そして、僕らはその最善のご提案をさせていただくお仕事を誇りに思っています。誰かの幸せを、ほんの少しでも担っているのですから。