旗竿の地、不整形地。敷地延長の地、シキエン。

東久留米支店長 佐藤 剛

その人柄に一度でも触れてしまえば、彼のそっと差し伸べる気配りや優しさに「頼れる支店長」というキーワードが心の真ん中にストンと落ちてくる。うっとりするような達筆をふるうこの支店長は、釣りを趣味にするために道具をすべて揃えたものの、忙しすぎて買ったまま開けることさえできないという。誰か、彼に時間をっ!

宅地建物取引士/2級ファイナンシャルプランニング技能士/住宅ローンアドバイザー/木造ハウジングコーディネーター/住まいの防犯アドバイザー/不動産キャリアパーソン/損害保険募集人

一般的には中々好まれることのない敷地のカタチのひとつですが、希望するエリアで予算が足りない場合は、不整形地を狙うのも一つの手。通常よりも土地価格が低く設定されていることが多いため、エリアを妥協することがなくなりますし、建物に予算をまわすことが可能になるかもしれません。

逆に、エリアにこだわりがなければ、何駅か下ることで、大きめの整形地を手に入れることも可能かもしれません。不整形地と同様、建物に予算をまわすこともできるでしょう。
土地の選び方は、決まった予算でいかにベストの選択をするか?ということを大切に、家族構成や住まいに対する価値観などによって、人それぞれ選択肢は変わってくると言えます。


そんな中から今回は、不整形地をお選びになったお客様をご紹介してみようと思います。

駅チカの賃貸アパートに暮らしていたこのお客様は、共働きのご夫婦。いわゆるDINKsの世帯です。ご主人様、奥様ともに、職場へは満員電車にゆられ、お互いに都内某所へと通勤し、家に帰っても車通りが多いため騒音でくつろげず、なかなか疲れがとれないことが大きな悩みでした。
数年前から、マイホームを考えるようになったと仰います。暮らしのエリアを変えず、住み慣れた地域でもっと静かに、楽しく暮らせる家をつくりたいというご希望を、ご来店当初まっ先にお話しいただきました。また、ご夫婦共通の趣味は音楽鑑賞や映画鑑賞であることや、帰宅後、ゆっくりと過ごせる部屋を作りたい、家にいる時くらい静かに過ごしたいということ、好きなお酒をゆっくり味わいたい、といった願いをお持ちでした。
予算、エリアをあわせ、私は即、敷地延長の土地、旗竿地のいわゆる『不整形地』をご提案しました。予算感からすれば通常の整形地は難しかったこともあるのですが、旗竿地の方が絶対にこのご夫婦にあった家づくりができるのではないかと思ったからです。



ご提案した土地は、約7.5メートルのいわゆる『竿』部分のおかげで、少しでも道路面から離れられ、その分静かな空間を設計できるため、お二人にとっては素晴らしい場所なんじゃないか、というのが一つの理由。もう一つは、お仕事から帰られるにあたって『竿』部分を使い、別世界へと誘うようなアプローチを設計することで、心にゆとりを持てるのではないか、と考えたからです。

車を使わないご夫婦ですから、アプローチの設計も、大胆に、そして楽しくできるに違いありませんし、この提案にお客様は喜んでくださいました。


さて、旗竿の土地でどんな設計をすればどんな暮らしができるのか。ここは設計の腕の見せ所の一つでありますが、お客様の多くの方が考えるように、旗竿地だからといって陽当たりが犠牲になるようなことはありません。吹き抜けやトップライトを設けることで驚くほどの陽当たりが確保できます。その点は最初に、設計次第でどうにでもなりますよ、とお話しさせていただいておりましたが、数回の打合せを重ね、より良い設計を模索した結果、本当に良い家ができたと自負しております。

例えば愛猫のため、吹き抜け部分に化粧梁を走らせ、壁面にいくつかの板を張り付けることでキャットウォークを作ったり(2階リビングから吹き抜けをつたい、3階の寝室に行ける仕様!)、家中にたっぷりと陽射しが降り注ぐように、仕切りを最小限にしたり、3階の寝室には、映画好きのご夫婦のためのホームシアターをつくったりと、とても素敵な空間ができました。留守がちなご夫婦ですから、数日に一度行う洗濯も、ホスクリーンを設置し、部屋干しであっという間に乾いてしまいそうな、たっぷりの陽射しが注ぐ小さなサンルームも設計、お洗濯がはかどる「家事ラクポイント」もつくりました。


そして、なんといっても最大のこだわりポイントは、アプローチの設計です。パーゴラを組み、さらに、みかげ石や白玉石、竹、もみじ、角柱、ガーデンライトなどで飾り付けるようデザインしました。お客様のご意向でお写真をお見せできないのが残念ですが、夜の美しさはまるで高級旅館のよう。ここを通れば、オンとオフをきっちりと切り分けられそうな、まるで違う世界へワープするようなアプローチに仕上がりました。


ご主人は仰います。「こんないい家に住めて、しかも道路からほんのちょっと離れることで驚くほど静かになりますし、プライバシーは守られますし、私たち夫婦にとっては本当にいいことづくめです(笑)。価格も抑えられ、建物やアプローチの設計にお金を回すことができたのも、とてもよかったと思っています。仕事から帰ってくるとき、このアプローチを通ることで、変な話ですが、非日常空間に足を踏み入れる気分にすらなるんですよ。この家にずっと住んでいきたいと思っていますが、もしまた家を建てることになっても、旗竿地を選びたいですね(笑)」


解放感とプライバシーを両立し、特別感のある空間を作ることができる旗竿地、つまり敷地延長の地、シキエン。王道の整形地とはまた一味も二味も違う空間を創り出せる敷地形状は、設計次第で魅力ある家ができるのと同時に、解放感も十分得られます。プライバシーを大切にする方や、マンション派の方、マンションからの住み替えにもおすすめの土地と言えます。実は近年人気も上がっているのですよ。もしも先入観がありましたら、それは大変もったいないこと。相場価格よりも安く購入できるこの旗竿地に興味がありましたら、お気軽にご相談くださいね。