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再び、幸せな家を あるいは Now you understand, don't you?

朝霞台支店課長 奥富克洋

クールな見た目とは裏腹に、その身体の中には誰より熱い血が流れていることを周囲のスタッフは知っている。若手営業からも頼れる先輩として信頼が厚く、チームの団結力を生み出すことに長けたこの営業課長は、剣道に熱中した学生時代に心身ともに鍛え上げられ、武道の厳しさを経験したことで、協調性や思いやりを大切にすることがいかに大事なことかを知っている。そう。だからこそ「人に優しく」なれるのだ。

宅地建物取引士/住宅ローンアドバイザー/木造ハウジングコーディネーター

ごくごく当たり前ではありますが、お客様は十人十色です。二世帯の方も、3人、4人家族の方もいらっしゃいますし、おひとり様、シングルマザー、DINKsなど、数えればキリがありません。
もちろん、私たちは、そういった様々な人生を歩んでいる方を知らなければいけません。どんな職業もそうかもしれませんが、そういった意味で「人生経験を積む」ということは本当に大切なことだと言えます。仮に自分が経験していないことでも、『知ろう』と思うことが大事なのではないでしょうか。経験していないとモノを言えないような世の中になってしまったら『想像力』すら奪われてしまうでしょう。

人は、誰かの痛みや、悲しさ、喜びを、自分のことではないが故に、真の意味ではわからないかもしれません。でも、想像することはできます。その想像力を使い、私たちはお客様一人ひとりと向き合っています。それが「共感」に繋がっていくのだと思います。



さて、今回は、離婚を経験された男性のお客様のお話しをしてみたいと思います。


お客様はお一人暮らしで、笑いながら「人間よりも部屋の数の方が多いという環境で十数年暮らしてきた」といいます。二人のお子様も、もうすぐ大学を卒業し、自立の時を迎えるそうです。お客様自身、仕事は充実し、シングルマザーの方と5年間交際され、公私ともに充実しているそうですが、問題は一人暮らしのお母さまのことでした。

ご相談に見えたとき、お客様はこう切り出しました。

「実は私の母が、車で1時間程度の埼玉県○○市に一人で住んでいるのですが、最近元気がないのです。父が2年前に亡くなったことも影響しているのですが、先日実家に帰った時、痩せた、小さな母の背中を見てから、一緒に住んだ方がいいのではないかと思うようになりました。充実した残りの人生を送ってもらうためにも、やはり私がどうにかしないといけないと思い、相談に来たのです。」
私は、もっとこのお客様のことを知らないといけないと思い、さらにお話をお伺いしました。

この時のヒアリングからわかったことがいくつかあるので、お話ししたいと思います。

まず、お客様は今の家を手放すことに抵抗はないということ。基本的にはリビングとキッチン、寝室しか使わず、3LDKでありながら1LDKのような暮らしをしているため、もったいないと感じていたようです。もちろん、お母さまを呼んで一緒に暮らす、ということも問題ないと仰います。逆に見えてきた問題は、お客様のお住まいはマンションであったということ。いわゆる、高層マンションの高層階であり、もしお母さまがここに暮らしたら、環境の変化に適応できるのだろうか?という疑問が浮上します。


次に、お客様の職場の問題。都内のオフィスにお勤めであり、職住近接を実現されています。今現在バリバリ働いているお客様のライフスタイルを変えることができるのか、継続するの方が良いのか、という問題も浮上します。


つまり、この時点で大きく考えられる選択肢は二つ。


①お母さまの住む家を売却し、お客様のマンションに一緒に住む
②お客様のマンションを売却し、お母さまの家に一緒に住む


もちろん、マンションを売却すれば(あるいは賃貸に出すという手もありますが)予算的にみたら良い条件を出せるのですが、コトはそう簡単ではありません。どちらをとっても、どちらかが大変な想いを抱えながら生きていかねばならないような気がするからです。


最も大切なことは、どれだけお二人が幸せに、そして健康的に暮らせるか?ということ。
もっと話を聞いてみないことには結論はおろか、提案もできないために、翌週、お客様とお母さまお二人にお話しをお聞きしたいということで、私はお客様と一緒にご実家に出向くこととしました。

お客様と待ち合わせをし、車に乗り込むとすぐ「途中の〇〇駅によってほしい」と、お願いがありました。交際中のシングルマザーの方もご一緒するというのです。訊くと「彼女、私の母のことを好きなようで(笑)、その母も彼女を気に入っているのです。たまには彼女を連れてきてよ、ということから、今日一緒に呼んでしまいました。もちろん、不動産屋さんが来る、なんてことは一言も話しておりませんけど」
途中の駅でお連れ様と合流、3人でお母さまのご自宅へ出発しました。到着すると、突然のお連れ様の訪問にお母さまは大変驚き、嬉しそうにしていました。

この時、家の話はどこへやら、3人でたくさんの話をされました。それにしてもこの時のお母さまの嬉しそうな表情は、最近元気がないというお客様の話とは違い、イキイキとしたものでした。きっと、誰だってそうです。楽しい時間は、笑顔が溢れるように、元気も湧くものです。

お母さまは私にこうお話します。
「この子はね、うちの子と同じで離婚されているんだけど、シングルマザーで頑張っていてね、でもそんなことはおくびにも出さず元気に明るく一生懸命に生きている姿がとっても可愛いんですよ。それにしても、うちの子はたまにしか顔ださないし、この子にももっと私は会いたいのに……」と仰います。

この時私はお連れ様ともお話しをさせていただきましたが、お子様が中学2年生、小学校4年生の兄妹であることや、お住まいがお客様のご自宅と、お母さまのお住まいの中間地点くらいの位置、朝霞市の賃貸に住んでおられることを知りました。


この時、お母さまは驚いたように「あなた朝霞市に住んでいたの?いつ引っ越したの??」と仰います。お連れ様はお子様の学校の関係で、板橋区より引っ越されたといいます。

この時点で、3つめの方向性がうっすら見えてきました。

予算的条件も良く、みんなが幸せに、楽しく過ごせるためには、お客様のマンション、お母さまのご自宅を同時に売却し、朝霞市にお客様とお母さまがご一緒に暮らせる家を探せば良いのではないか。うまく売却できれば、かなり有利な条件で新居を購入できる可能性もある。そうすればお連れ様のご自宅も近く、もしこの先に再婚のお話しが進んでも素敵だし、そうでなくとも、お連れさまとお母さまの関係も深まり、より充実した時間が過ごせるようになるのではないか。お母さまは利便性ある市に住むことで、買い物などの苦労から少しはラクになるのではないか。お客様の通勤も、そこまで苦になる距離ではないのではないか。

楽しい話をしているみなさんの邪魔にならないようこの話を提案すると、お客様はびっくりした様子でこう話されました。

「確かに、朝霞市であれば通勤も苦になりませんね。それに、彼女との関係を単なる交際だけにとどめておくのはどうかと思っていましたし、何より母と彼女もまるで友達のような関係なんですよね。朝霞市に住めば母ももっと楽しい時間を過ごせるかもしれない。今の母の家では買い物も大変ですし。母がそれでよければ私は賛成ですよ」。


お母さまは「そうね、お父さんが残してくれた家を売却するのは残念ではあるけど、奥富さんの仰るように、そんなカタチで残りの人生を前向きに、元気に暮らしていくのもいいかもしれないわ。あなたたちも近い将来再婚なんてこともあるかもしれないし(笑)。そうしたら私も毎日が楽しいし、安心して暮らせるんだけどね」と仰り、お連れ様は「再婚もタイミングかもしれないよね?実はそんな話も彼としていたんですよ(笑)」と仰ります。


なんだか違う仕事をしているような気にさえなりましたが(笑)、もちろんこの時に結論を出してもらうつもりもなく、この日は私も3人の輪の楽しそうな会話に参加させていただきました。やはり、現場ではこんなドラマのような場面に遭遇したりもするのです。



一カ月後、お客様のマンション、お母さまのご自宅の売却活動に入りました。トントンと話は進み、驚くほどのスピードで売却活動も終えました。そして、お客さまは、大きな4LDKのお住まいをご購入されました。

この後、どんな展開になるのか。お客様とお母さまが新居にお住まいになられてから1年後、嬉しい一通のハガキが届きました。
もうおわかりですよね?(笑)