タイトルイメージ

建築家紹介

The Archi Designers

田邉恵一先生

田代計画設計工房

田代 敦久

「シンプルにつくり、シンプルに暮らす」をテーマに、100人100様の要求に具体的な形を与えるのが私の仕事です。

01経歴・プロフィール

建築の道に進んだきっかけ

大学の付属高校で受験勉強をする必要がなかったため、美術や数学など、いろいろな本を読んだり勉強をする時間がありました。そのなかで本当にたまたまなのですが、代表的な建築家を紹介する本を読み、「これだ!」と思ったのが、建築の道に進むことになったきっかけです。
その後、大学の建築学科を卒業し、アトリエ系の事務所に2年、日本逓信(ていしん)建築事務所※(現:ニッテイ建築設計)に約5年ほど務めて、30才の時に独立しました。特に日本逓信建築事務所では、ホテルや音楽ホール、珍しいものではロケットの発射台などを手がけていて、多くのことを勉強させてもらいました。
※逓信建築(ていしんけんちく)は、戦前の逓信省において郵便・電信・電話・電気 / 事業の局舎等、施設を逓信省営繕課の官僚(技師集団)らによって設計された建築物

【印象に残っているエピソードその1】

田代計画設計工房では7割程が住宅設計で、他に商業施設や共同住宅なども手がけています。少人数でやっていますので、年間で4~5棟設計出来れば良い方でしょうか、これまでに約250棟ほど設計しています。

私が手がけていた、とある建築現場の前をクルマで毎日通勤されている方がいました。最初は住宅ではないと思っていたそうです。ところが完成して住宅だとわかり、ある時、施主様に「このお宅は誰が設計したんですか?」と聞いて、私のことを知ったそうです。このような経緯でご依頼をいただき、その現場からほど近い場所に、もう1棟お手伝いさせていただくというご縁がありました。

こちらが「誰が設計したんですか?」と聞かれるきっかけになったという住宅。まるで音楽ホールのようなモニュメント性を与えた大きなスケール感で、まさか住宅を建てているとは思いませんよね。

そしてこちらが、左記の施主様から紹介を受けて建築したという邸宅。前面の丸い部分が印象的で、本物の木を使用しているという。道路との充分な距離と植樹帯によって周辺への環境にも配慮している。

【印象に残っているエピソードその2】

あるとき不動産会社から電話がかかってきて「お客様が、土地が見つかったら田代さんに設計をしてもらいたいと言っている」と言われました。最終的に、そのお客様は事情により建築出来なかったのですが、それから数年後、私に設計を依頼したいという電話がありました。「どこで私のことを知ったのですか?」と尋ねると、「職場の上司が、家を建てるなら田代さんのところに頼むといいよ」と紹介されたって言うんです。なんと、その職場の上司が、最初に私に依頼したいと連絡をくださった方だったんです。
私のことを今でも気にかけてくれていたんだな、と思うと感慨深かったです。

2台分のガレージを持つ2世帯住宅。道路に対して開かれた庭を作り夜は照明を点け良好な環境を演出した。塀をなくす代わりにプライバシーを守るため格子を使い、過度にならない程度に外からの目線をカットしている。

床面積74坪超の二世帯住宅。木造であるが、スチール製の構造柱を採用することで細く見せている。また木製のサッシを採用し、大きな開口部と断熱性を両立。テレビまわりのボードやキッチン収納は作り付けとし、デザイン面での一体感を図っている。

【印象に残っているエピソードその3】

ご自身で撮影した建物のスナップ写真を私に見せて「こんな家が建てたい」というご相談を受けました。そしたらまさか!「これは私が設計した家です」なんていうことがありました。最初は何かの冗談かと思ったのですが、私のことを事前に知っていたわけでもなく、日本にこれだけ多くの住宅がある中で、私の設計した家がいいと言ってくれる方と出会えるなんて、奇跡的なことですよね。

田邉恵一先生の自宅

右写真の施主様が写真を見せて「こんな家にしてほしい」と相談されたという住宅。田代さんの設計による住宅とは知らなかったそう。

田邉恵一先生の自宅上空写真

そしてこちらが、ご依頼を受けて建てた住宅。どことなく似ている部分もありますが、そこはしっかり施主様のためにデザインされています。

田邉恵一先生の自宅のガレージ

中央の壁がDKとLをさりげなく分けている。グルグル廻れる動線がつくる空間は、子どもたちにとって絶好の遊び場となります。鉄骨造の3階建て。

【印象に残っているエピソードその4】

3人兄弟のいるご家族で、まず次男の方のお宅を設計したことがあります。その次に、お嫁に行った長女、最後に長男とご両親の二世帯住宅を任せてもらい、結果的に、ご家族皆様の家を担当させていただきました。兄弟と言っても考え方や嗜好が違うはずなのに、ご家族1人1人から信頼されて、設計を任されるなんていうことは、まず経験出来ないことですから嬉しかったです。

こちらのエピソードで建築したのはすべて沖縄。沖縄では慣習的にRC造の家が建てられることが多く、この3軒もRC造で考えられています。ただし、沖縄では珍しい外断熱構造を採用しています。もちろん寒さ対策ではなく夏の猛暑から生活と家を守る為です。コンクリートは躯体に熱をためがちですから外断熱は熱環境に大変有効です。

02建築家の仕事を知る

田代先生にとっての建築家の仕事とは?

「環境に対する配慮」をすることでしょうか。環境と言うと、大きな意味ではSDGsや省エネにも配慮しなければいけませんし、小さな意味では「家が建つ周りの環境」にも配慮しなければいけません。以前、ある個性的な住宅が建ったことで近隣の住民に裁判を起こされる、というニュースがありました。住宅は個人のものですから、ある程度の自由度はあって良いのですが、周りの方から「あの家ができて良かったね」と言ってもらえるような、「環境に配慮した家」を建てることが建築家の使命だと思います。
これまで多くの建築家は「小さい意味での環境への配慮」は出来ていても、作品性を求めたりする結果、省エネなどの「大きい意味での環境への配慮」が行き届いていなかったと思います。これからの建築家は「省エネ」や「ローコスト」といった、地球に対して優しい家づくりをしていかなければいけません。
住宅はデザイン、構造、省エネ、使いやすさ、どれも大事です。欠けて良いものは1つもないし、どこかに偏ってもいけないと思います。私の場合は、そのバランスを心がけて設計しています。

建築家と設計士の違いとは?

独立しているかどうか、自分の判断で進められる仕事が出来るかどうかだと思います。雇われている設計士は会社からお給料をもらっている以上、決められた枠組みのなかで仕事せざるを得ません。私たちは施主様からお金を頂いているわけですから、施主様のほうを向きながら設計しています。住宅を建てる際には様々な選択が求められます。その様なときでも、私たちは会社や自分の都合で判断するのではなく、「施主様のためになるかどうか」で決めていきます。
設計~施工まで一貫して行う工務店や設計事務所だと、設計でも立面図、平面図だけで施工まで対応出来るといった良い所もあります。私たちは、ディテールまでこだわって1棟に何十枚もの図面を書きますので、そもそもの仕事内容が違うのではないかと思います。

田代計画工房設計の事務所内に飾ってある建築模型の一部。模型には見えないほど、色使いや細部のディテールまで反映されている。建築事務所であれば当然のことかもしれないが、ハウスメーカーで模型まで作ってもらえることは少ない。もしも自分が施主でこの模型を見たら、きっとワクワクしてしまうんだろうなと思いながら、取材させてもらいました。

日本の住宅には木造が適している

施主様のご要望をお聞きしたうえで、木造で対応しましょう、RCで実現しましょう、といったご提案をしていきますが、住宅の場合、基本的には木造をお勧めしています。RCを勧めるとしたら、例えば幹線道路沿いの立地で音や振動を遮断したいとか、主に音や振動が関わってくることが多いです。RCのほうが耐久性があって丈夫ではないか、と思われるでしょうが、木造でも丈夫な建物は作れますし、RCでも設計次第で耐震性が不足することだってあります。
建築家と一口に言っても、学校建築や倉庫、超高層マンションなど、それぞれに得意ジャンル、得意分野があります。現役の1級設計士の方の住宅を手がけたことがありますが、「住宅の設計経験がないから不安」ということでご依頼いただきました。それほど住宅の設計というのは特殊なのです。

ご予算次第で、非日常な建物からローコスト住宅まで、様々な提案が出来るのが建築家の強み

まず誤解しないでいただきたいのは、私たち建築家は設計~工事管理までが主な業務となり、建築そのものは建築会社が担当します。そのため建築家とは「設計契約」を、建築会社とは「請負契約」を施主様に行っていただきます。建築会社や工務店は施主様自身で決めていただくこともあれば、私たちの方で信頼できる工務店などをご紹介することもあり、ケースバイケースです。設計料には工事管理まで含まれていますので、担当する建築会社とともに、工事を進めていきます。
そのうえでお話しすると、私たちにご依頼いただく施主様は、経済的にゆとりのある方が多いとは思います。だからといって、一般的なサラリーマンでは依頼ができないかというと、全然そんなことはありません。と言うのも、たまに「予算不足でハウスメーカーに断られたのでお願いできませんか?」という相談を受けます。例えそういったご相談であっても、可能な限りお応えしたいと考えています。私たちにはハウスメーカーで言うところの「標準仕様」といった決まりがありませんので、ローコスト住宅のご提案も出来ます。こうなると、施主様は割り切れる部分が出てきますので、私たちも思い切った大胆なご提案が出来ます。設計契約を結ぶまで費用は発生しませんので、まずはご相談いただければと思います。

土地約46坪、建物約33坪、建物費用約3,000万円。ローコスト住宅ながら、シンプルかつ、バルコニーから漏れるライティングが印象的な外観。周囲が3階建てに囲まれた住宅密集地であるため、プライバシーに配慮した生活が見えづらい設計としている。

2 階を生活の中心となるLDKとし、光と風は隣り合う大きなバルコニーから取り入れています。坪単価約100万円程で、これほど素敵な建物が建てられるなら、建築家に相談してみようという気になりますね。

建築家を選ぶ際のポイント

本当に長いお付き合いになりますので、いちばん大事なのは建築家との「相性」だと思います。次に「作品性」じゃないでしょうか。それぞれに得意分野がありますので、自分のイメージと全然違うという場合は避けたほうが良いと思います。私たちにも建築会社との相性というものがあって、初めて一緒にお仕事する建築会社や工務店だと不安もありますし、施主様が選んだ工務店であっても、施工が厳しいと感じる場合には正直に事情をお話しすることもあります。

03田代計画設計工房を知る

田代計画設計工房の強みとは

40年の経験と実績による、対応力の高さでしょうか。どのようなタイプの住宅にでも対応出来る自信があります。
私たちの設計ポリシーとして「できるだけシンプルに作って、シンプルに暮らしてほしい」と考えています。
「シンプルに作る」というのは、例えば部屋ごとに仕上げを変えたりせず、暮らしの動線も複雑にならないようにするなど、AとBという選択肢がある時はどちらがシンプルか?ということです。
「シンプルな暮らし」というのは、具体的には「片付けられる生活」が出来るようにしたいです。片づけというのは、建築である程度どうにか出来ると思います。例えば、ご主人が朝、新聞を読んでいて、別の場所に6帖の大きな収納スペースがあったとしても片づけませんよね。でも、振りむいた場所に収納があったらどうでしょうか?収納は「量」よりも「使う場所のそばに使いやすい収納があるかどうか」が大事です。そのために、施主様がどこで何を使うかということを徹底的に調べて、どこにどんな形や大きさの収納を設ければ使いやすいのか?、ということを常に考えています。そういった小さな積み重ねが、シンプルな暮らしが出来る家に繋がってくると思います。

田邉恵一先生の自宅のガレージ

地下1階・地上2階の3階建ての家。敷地が急勾配の道路に接しているため、無駄なスペースを作らないことを考慮した結果、6層にも及ぶ複雑な構成のスキップフロアを採用している。

田邉恵一先生の自宅

お茶を嗜まれる。という奥様が将来茶房を開けるように、プライベート空間と茶室の動線を分けて計画した邸宅。純和風の空間と洋の空間が楽しめる家となっている。

田邉恵一先生の自宅上空写真

南傾斜の良好な住環境の中に建つ邸宅。気品を与え、時代に流されない、シンプルに徹した外観。

建物は最低何坪~、費用はどのくらいかかる?

まず私たちの仕事は契約からお引渡しまで最短で1年半ほどの期間が必要です。設計で約1年、着工してから約半年というイメージです。設計管理料は1億円以下の建物ですと、だいたい請負金額の12%をいただいています。建物費用が3,000万円だとすると、これとは別に設計管理料360万円+構造設計料(木造だと約30万円前後)が発生します。お引渡しまで1年半以上のお付き合いになることを考えると、このくらいの対価が必要になると考えていただきたいです。建物が最低何坪以上~といった制限は特にありませんので、狭小住宅のご相談も歓迎します。

田代計画設計工房での坪単価はどのくらい?

建物に関しては、耐震等級や断熱性能といったスペックは満たしたいので、建物の坪単価は最低100万円~※になります。ただ、この坪単価には照明器具や付帯工事費用(電気の引き込みや給排水工事)が含まれていますので、そうなるとハウスメーカーとも比較検討しやすいのではないでしょうか。

※建物の費用とは別に、設計管理料や構造設計費用が別途必要です。

住まいづくりの選択肢に、建築家を加えてみませんか?

私たちはお客様のご要望をお聞きして、1週間で図面を描くといったことはしません。なぜなら、施主様から20帖のLDKが欲しいという要望があった場合、私たちはどうして20帖のLDKが必要なのか、どういった使い方をするのかを知りたいからです。そういったお話を、時間をかけてヒアリングしていきますので、短期間で図面を描くことが出来ないのです。また設備や仕様に関しても、カタログを見ながら「AかBのどっちにしますか?」ということもありません。例えばキッチンにしても、世界中のキッチンを組み合わせてもいいし、ゼロから設計することも出来ます。自由な発想から生まれる住まいづくりのお手伝いが出来れば幸いです。

【これから建築を考えている方へのメッセージ】

日本の住宅は30年程度で壊されてしまうというデータ※があります。一方、アメリカは55年です。日本の住宅が構造的に耐久性が低いということではなく、最終的には「住まい方に合わない」から壊してしまうのです。最初から将来のことを考えて設計すれば、本当に長く住める家を作ることが出来ます。
SDGsや省エネといった環境にも配慮した「永住にふさわしい住まいづくり」、私たちと一緒にはじめませんか?
※国土交通省:土地統計調査による

田代さんは自動車好きとのことで、愛車を見せていただきました。こちらはイギリスのケータハム「スーパーセブン」というスポーツカー。一般の方には馴染みが薄いですが、昔から根強いファンのいるクルマです。スーパーセブンのレースにも出場しているそうです。

こちらはスマートという、かわいらしいクルマ。写真のモデルはこのスマートをベースにした「ブラバスアルティメイト」という限定車。日本に5台しかないとのことだ。

白いメールイメージ

コンタクト

Contact

ご質問やお問い合わせはこちら

お問い合わせ