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Interview

有限会社河野ギター製作所
代表取締役 櫻井正樹さん(右)
製作課長 君島聡さん(左)

良い音のギターを生み出すために、
論理的に製作すること。
そして、誰かに感動してもらうために、
情熱を注ぐこと。

出荷を待つ美しいギターの数々

代表取締役の櫻井さん

製作長の君島さん

1.論理的に作らねば良いギターは生まれない―。

櫻井叔父がギターを製作していた事もあり、中学1年生の頃よりギターを弾いていました。大学は電子工学科を選びましたが、この理由はミキサーの職業に就きたかった為です。卒業する頃、先代の河野賢より「これからの時代は論理的にギターを作らねばならない。君は電子工学を学び、科学的な知識がある」と、まずは研究者として誘われました。ただし、当時は測定器がオシロスコープしか無く、ギターの立ち上がりの音、減衰等が測れなかった為、研究に関しては1年で挫折しました。「やることが無くなった」と先代に相談すると「桜井君、ギター作りになったらどうかね?」とお話を頂き、2年目から製作者としての道を歩み始めました。

代表取締役の櫻井さん

君島先代である祖父がギター製作者であることは、幼少の頃から知っていました。私は3人の兄弟がいるのですが、その中でも私は「職人気質」であると、両親からも、祖父からも言われており「もしギター製作に興味があるのなら、やってみないか?」と誘われていました。しかし、一旦この道に進んでしまえば、自分の人生が決まってしまうと感じ、中々踏み込めずにいたのです。大学は理系の道に進みましたが、改めて自分の人生に向き合った時「仲の良かった祖父が一生を費やしたギターの世界」を一度覗いてみたいという気持ちが強くなりました。櫻井に相談した所「理系の知識を使い、論理的、科学的に製作しないと良いギターは出来ない。君が理系に進んだ事は正しかった」と話してくれました。卒論作成時にはギター製作者になると決めていたので「良い音のギターとはどういった特徴があるか」を音データのフーリエ解析によって周波数スペクトルを調べ、発表しました。

製作長の君島さん

櫻井周波数の中で「どのようなサイクル(ヘルツ)の音が、どのような割合で入ってるかを調べる」ということが「スペクトルを調べる」ということですね。一本のギターの音の中にはそれこそ「滅茶苦茶」とも言える程、様々な音の成分が入っています。

君島ギターの音には、ベースとなる基音の他に、倍音と呼ばれる高い周波数の音が入っており、それらが混じる事でギターらしい音色が作られます。ただ、その基音と倍音のバランスというのはギターによってそれぞれ異なります。基音と倍音の音のバランスがどのように特徴があれば「良いギターの音だ」と人の耳は感知できるのか?という研究を行った訳ですね。

櫻井私が、ー音の成分の研究をするようになったのは、先代がお隠れになった数年後、現在より約18年程前に遡ります。この頃、私の仲間より芝浦工大の岡村教授をご紹介頂きました。教授もギターを弾いており、良い音を追求したい私に対して「測定器は全て揃っているから是非協力したい」と、共同で仕事を進める事となりました。様々な研究を行い現在に至っていますが、君島が考える「科学的な見地での良いギターの音とは?」というテーマも、この研究が進んだことにより実ってきており、良いギターを生み出すことに成功しています。君島本人も「考えていた通りだな」と実感しているでしょう。とは言え、私も100点の楽器が出来たとは思っていません。そこに到達するには乗り越えねばならない壁がまだありますし、生きている限り100点はあり得ないとも思います。

出荷を待つ美しいギターの数々