2.自分の力が「外の世界」でどのくらい通用するか？

それから約10年後、私は「サルヴァトーレ」から青山にある「サバティーニ」というレストランに移り日々頑張っていました。気付くと副料理長にまで昇り詰めていたのですが、その頃、先ほどの地主さんから「覚えてますか？ついにお店を出すことになったので是非来てください」という電話がありました。普通に考えると、どれだけ時間がかかってるんだ、という話なのですが（笑）、聞くところによると、この土地は保護林であったため、所沢市との調整で時間がかかったということでした。その後、休みを利用して「ピッツェリア武蔵野山居」に出向きました。

地主さんはレストランにかける想いが非常に強く、心を動かされました。私は「今、サバティーニというところで働いていますが、休みの日は時間があるので力になれることがあれば協力させていただきます」と申し上げました。オープンまでの間、過去の経験で学んだことを活かし、準備をしていく中で、気付けば「ピッツェリア武蔵野山居」の従業員かのように働いている自分がいました（笑）。


そんな中、いろいろと考え抜いた末に「自分の力を試すチャンスでもある」と思い「ピッツェリア武蔵野山居」に移る決意をしました。同じ場所で仕事を続け出世するよりも、自分の力が「外の世界」でどのくらい通用するのか？―それを試したいという「好奇心」の方が強くなったのだと思います。