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ヨーロッパの街並みのような風格を漂わせる上品な外観デザインのKieido

熟練されたネルドリップの腕前を披露してくれました。

5.珈琲店を始めるために

どんな仕事でも同様ですが、珈琲店を始めるためには、当然開業準備が必要でした。しかし、研究の世界では1日に3時間程度しか睡眠時間がとれず、休みも殆どないような状況で実験を行います。研究とはそういった世界観なのですね。つまり、研究者を続けていては、準備すらままならない訳です。ですから、ここで一気に人生の舵を切りました。当然、開業資金も貯めなければなりませんので、私の強みを発揮できるようなバイオテクノロジー関係の会社に就職しました。昼は会社勤め、夜は当時購入したばかりの小型の焙煎機で、生豆からの焙煎をはじめました。焙煎をするためには「生豆」のことをよく知らなければいけません。そのため5キロ~10キロの生豆を購入し、毎晩選別作業を行い、週末になると色々な焙煎実験を行っていましたね。

また、私の場合は焙煎をはじめ、珈琲の抽出に関しても、どこかで修業をしたという訳ではありません。「研究者という経験」を活かし、独自に実験を積み重ねることでどうすれば美味しい珈琲を淹れることができるのか?と、探求を続けました。例えば「欠点豆だけを焙煎し抽出した珈琲」なども実際に淹れ、飲んでみます。そうすることで、欠点豆がコーヒーの味に及ぼす影響を知ることができるのです。

また、ハンドピックに関しては、生豆の状態と焙煎後、その両方で行います。生豆の状態でなければ識別できない欠点豆と、焙煎後でしか識別できない欠点豆とがあります。生豆の状態のハンドピックは人工光の下で行いますが、焙煎後の欠点豆の識別は自然光の下でしかできません。人工光の下では厳密なハンドピックができないのです。他の焙煎士の方がどのような作業をしているかは知りませんが、例えば、雑誌等で見かけるような「蛍光灯の下でハンドピック」をしているような姿は、私の中ではあり得ません。このように開業準備の期間に、様々な実験を繰り返しました。



6.ネルドリップをはじめた理由

その後、紆余曲折を経て、2016年に「自家焙煎珈琲 beans shop Kieido」を開業しました。お店で提供する珈琲はネルドリップで抽出するのですが、ネルドリップは、大学生のころから始めております。当時は学生寮で暮らしておりましたので、さすがにサイフォンを持ち込む訳にもいかず、ペーパードリップで珈琲を淹れておりました。自家焙煎店に何度も何度も通い、焙煎豆を購入していたのですが、ある日店主さんが「そんなに珈琲が好きならネルドリップで淹れてみては?」と教えてくれたのです。店主さんにネルを紹介してもらい、簡単な淹れ方も教えて頂いたのですが、最初にネルで淹れた珈琲は、それはもう不味いんですよ。雑味だらけで、ペーパーで淹れた方が美味しいのに!と思っていました。
しかし、その店主さんは「絶対ネルドリップだ」と言うのですね(笑)。それを信じて、挽き具合を変えたり、温度条件を変えたり、淹れるスピードを変えたりという様々な実験を行いながら、探求を続けました。

すると、一年位経過したある時、突然凄く美味しい珈琲を淹れることができたのです。びっくりして、同条件で再現しようと淹れてみたのですが、何故か同じ味のコーヒーにならないんですよね(笑)。ネルドリップの奥の深さを改めて知りました。
しかしながら一度美味しく淹れることができると、だんだん美味しい珈琲の頻度が増えてくるのです。時間はかかりましたが、そんな感じでネルドリップに馴染んでいきました。

ヨーロッパの街並みのような風格を漂わせる上品な外観デザインのKieido

お客様からもネルドリップを始めたいというお話を頂きます。しかし、約3か月間、100杯くらいは美味しくは淹れられないですよ、という話をします。それを我慢できるならネルドリップを始めてもいいかもしれません。また安定してペーパードリップよりも美味しく淹れるには1年かかります、ともお話しますね。また、雑誌等でネルの起毛が雑味を吸収してくれるという、よくわからない文言を見かけることがありますが、なんの成分がどういう作用機序で綿に吸着されるのか、なんていうことはどこにも書いてないのです。実際に淹れ方が下手な人がネルドリップで淹れると、ものすごい雑味が出ます。ですから、ネル自体に雑味を吸着できる機能は、当たり前ですがありません。

熟練されたネルドリップの腕前を披露してくれました。

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