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『人の輪(わ)』インタビュー

深津康幸さん

R(アーーーーール)
ノウ株式会社 代表取締役
深津 康幸さん

Q:これまでの経歴を教えてください

面白法人カヤックという会社に4年ほど勤め、クライアントワークを中心に広告制作やアプリ制作などに携わっていました。その後、業界の変遷とともに、さまざまな企業との新規事業開発やサービス・デバイス開発、他にも空間の演出や映像制作などさまざまな仕事をさせていただいております。カヤック退職後は、同僚と会社を立ち上げたり、知人の企業とジョイントベンチャーを立ち上げたり、さまざまな経験を経て今のノウ株式会社に繋がっています。ノウを立ち上げてから3年経ち、今に至ります。

R(アーーーーール)外観

Q:サステナブルな暮らしの実験場『R(アーーーーール)』とは?

名前のRとは、リサイクル、リデュース、リユース、リフューズ、リペアと五つの頭文字Rを表しています。多岐に渡り、「サステナブルな暮らし」を企画・実践していくプロジェクトのことです。ここ『R-SPACE』は、「サステナブルな暮らし」についてみんなで意見交換し、考える共有スペースとして活用できるよう1階と2階を自分たちでリノベーションしました。基本的な解体をほとんど自分たちで行い、床に使用されていた木材からビスや釘を丁寧に取り除いてテーブルやカウンターに使う建材としてリユースしています。

具体的に何をしているかというと、シェアキッチンやプロジェクタースクリーンがある1階部分は、近隣を中心に「前から飲食店をやってみたかった」という方に趣味兼商業スペースとして使って頂いたり、鍼灸免許を持っている方の施術スペースとして活用して頂いたり、さまざまな用途があります。コワーキングスペースやイベントスペースとして活用されている方も多いです。料理教室やちょっとしたワークショップを開催されている方もいますね。そういったさまざまな分野で活躍されている方々が会員となり一か所に集まることによって、会員さん同士に新たなつながりが出来たり、それぞれが別に持っているコミュニティがつながったり、横の関係が広がるきっかけにもなっているかと思います。そして2階部分は、3LDKの賃貸住宅をシェアオフィスにリノベーションしました。コロナ禍で食・住とオフィスの近接に需要が高まってきているなかで、スポットで短期間借りてまた出ていくという方も多くいらっしゃいましたね。

R(アーーーーール)内観
R(アーーーーール)で作業をする女性
R(アーーーーール)作業スペース
R(アーーーーール)共有スペース

Q:『R-SPACE』をはじめるきっかけとは?

ここのはじまりは1年ぐらい前でした。「暮らしに関する課題を解決する・社会をアップデート」というステートメントを掲げ、事業領域を絞っていこうと考えた時に、そもそも自分の住んでいる街のことを全然知らないと気づいたのがきっかけです。そこでまずは街のことを細かく知るべく、地域で活動されている色々な方のお話を聞くイベントを主催して、既存のコミュニティや素敵なお店を運営されている方々とつながりを作りました。そういった活動を続けていれば、自然と人脈も広がっていきます。そして1年ほど前にお声がけ頂いたのが、現『R-SPACE』のあるマンションのオーナー企業の方だったんですね。最初は「空いている部屋をシェアハウスにできないか」というご相談でした。ところが色々と細かく調べていくと、シェアハウスにするには現実的な問題があったのです。まずこの部屋自体の電力量が少なく、全部屋にエアコンをつけると容量が足りなくなってしまうのです。立地的に駅から遠く、シェアハウスの需要が少ないという根本的な課題もありました。そこで私が提案したのが、さきほどお話した「サステナブルな暮らし」に関するプロジェクトです。その掛け橋として、まずみんなで共有するスペースを作らないかという提案をしたのが、『R-SPACE』のはじまりです。

R(アーーーーール)作業スペース2
R(アーーーーール)共有スペース2

Q:『R-SPACE』をきっかけにして、どんなイベントがうまれましたか?

ここをきっかけにして、これまで多種多様なイベントが行われてきました。例えば、『みんな電力』という再生可能エネルギーの販売事業者さんからお話を聞くオンラインイベントを開催したり、『光が丘IMA』という大きな商業施設で「サステナブルマーケット」を開催したりです。このイベントは、さまざまな環境配慮の考えを持ったお店に出店してもらうマルシェのようなものです。全部エコじゃなくてはいけないというルールはなく、一部の人にしか知られていない素敵な事業者の方々に、集客力のある商業施設へと集まって頂き、訪れる人に知って、興味を持ってもらうといった目的があります。また、出店者の方がこれをきっかけに環境のことをもっと深く掘り下げていくようになったり、お買い物にこられるお客さんも、何か刺激や考えるきっかけを受け取るような流れになってくれればいいなと考えています。他にもデンマークやフィンランドなど、サステナブルな活動の先進国が多いヨーロッパ在住の方々とオンラインでつながっていくイベントを開催したりもしています。そこでは、彼らが実践している具体的なアイデアを石神井エリアでも展開していけるよう相談する機会を設けています。

サステナブルマーケット
サステナブルマーケットの様子

Q:「街」への想いを教えてください

石神井にはかれこれ10年以上、その前には大泉学園に住んでいたので、トータルで13~14年ほど練馬区に住んでいます。これはどの街にも言えることだと思うのですが、その街にはその街を愛して活動されている方々がいます。特に石神井には多いのですが、そういった動きがどんどん広がっていって欲しいですね。ちょうどいい距離感で面白いことをされている方がたくさんいますので、何かをはじめようとするとすぐに仲間になってくれます。ただ、それぞれのコミュニティを持って活動されている方は私が来る前からたくさんいましたが、そのコミュニティ同士がつながってさらに大きな輪になるという横の動きはこれまであまりなかったようです。そういった別々のコミュニティに属する方がひとつの場所で出会い、全体をつなげて、新たなアイデアが生まれていくきっかけを作れたらいいなと私は考えています。

実際に石神井エリアと大泉学園エリアの人がつながって新たなプロジェクトが生まれたという事例はすでにあります。例えば石神井のクラフトビール屋さんと大泉学園のワイン屋さんがコラボレーションして新しい商品を作るとか。やはり、皆さんの潜在的なニーズとして、そういったきっかけを求めているという部分が少なからずありますので、私はそのきっかけとなる場を作るだけです。

サステナブルマーケット2
サステナブルマーケット上空からの写真

Q:この先の展望、大きな目標について教えてください

『R(アーーーーール)』という概念をスペースだけでなく、プロジェクトとして拡大していきたい。ここ石神井で培ったノウハウを、他のエリアで『R(アーーーーール)』を運営したいと考えている事業者の方にシェアしながら、日本全国にこの考えを広げていこうと考えています。例えば「近隣のパン屋さんから捨てるはずの小麦粉の袋を回収して洗い、バッグを作る」という情報を違うエリアの『R(アーーーーール)』にシェアすると、「じゃあ私たちも近くのパン屋さんにお願いしようか」と波及していく。そういったプラットフォームを作りたいです。このプロジェクトは、オランダの『What Design Can Do』という団体が主催し、イケア財団などが協賛している「ノー・ウェイスト・チャレンジ」というグローバルなコンペディションで1500近いアイデアのなかからベスト16に選ばれました。

他にも会社としては、企業と連携した街づくりや、練馬区のシティブランディングといった仕事にも携わり、練馬区のイメージを「アニメの街」「農業の街」といった断片的な印象からアップデートさせていきたいという想いもあります。今練馬で起きていること、これから練馬が向かう可能性のある未来のことを発信していきたい。この辺はいわゆるベッドタウンといって都心からほどよい距離にある住宅エリアなのですが、ゆえに都内の大企業に勤められている方や、クリエイターの方、社長さんなどとにかく凄い方が多いので、そういったポテンシャルのある方々が地域活動に携わっていくと物凄いことをできると思うんですね。そういった流れを意図的に仕掛けていきます。

『R(アーーーーール)』と深津康幸さん

Q:練馬区はどういう街ですか?

住んでいる街のことを知らない人ってどこの郊外都市にもいると思うんです。たぶん、都心に仕事に出て帰ってきて、また家で過ごしての繰り返しの人が多いんじゃないですかね。休日になると、車でちょっと遠出して大きな商業施設で過ごし、また帰ってくる。自分の住んでいる街の中で足を動かすことが少ない人って多いですよね。でも目を凝らせば美味しいお弁当を作っているお店があったり、個性的な服屋があったり、そういった方々を知るきっかけがあるだけで、街でお金を使うという行動につながるのです。下北沢などと比べると、まだまだお店の数も賑わいも、そこで生まれる経済効果も全然レベルが違うとは思いますが、このエリアはこのエリアなりに面白い何かがあるという考えはありますね。そういった印象を外のエリアに向けて広げていきたいです。

『R(アーーーーール)』小物

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