MENU

『人の輪(わ)』インタビュー

ウィズタイム&あちこち屋兼俊 亮さん

ウィズタイム&
あちこち屋
兼俊 亮さん

Q:「あちこち屋」と「ウィズタイム」って?

「あちこち屋」で販売されるチョコレートをはじめとした商品は、私が代表を務める一般社団法人アライブが運営する就労継続支援B型事業所「ウイズタイム」で作られています。「ウイズタイム」のある建物の2階は「ウイズタイムハウス」というシェアハウスなのですが、元々そちらが先に計画されていました。このシェアハウスは「障害や年齢関係なく、少しだけ手助けや支援が必要な人でも暮らせる場所」というのがコンセプトで、私もプロジェクトに関わり、両親が第一号の入居者になりました。元々両親を見守りながら、社会的に意義のある仕事をする事が夢だった私は、ウイズタイムハウスのオーナーの勧めもあり、障がい者の就労支援の仕事『ウイズタイム』を1Fフロアを借りて立ち上げることにしました。

就労継続支援B型事業というのは、障害福祉サービスの一つなのですが、障害を持つ方が「就労」に向けて「訓練」をする場所になります。「訓練」であり「労働」ではないため、雇用契約は結ばず、制作物や作業に対する成果報酬として「工賃」が支払われます。

「ウイズタイム」の利用者は「ウイズタイムハウス」の共用部分の清掃等の管理作業とビーントゥバーチョコレート等の製造作業の対価として「工賃」をお支払いしています。

ウイズタイムハウス 写真1
ウイズタイムハウス 写真2
ウイズタイムハウス 写真3
ウイズタイムハウス 写真4

Q:ビーントゥバーチョコレートとは?

ビーントゥバーチョコレートとは、一つの工場でカカオ豆からチョコレートの製品まで一貫して作られたものです。一般的な大量生産のチョコレートは、カカオ豆から油分であるカカオバターを抽出して原料として使われます。多くのチョコレートは、香料や乳化剤といった添加物を混ぜて作られるのですが、「ウイズタイム」で作っているビーントゥバーチョコレートの原料は、カカオ豆ときび砂糖の2種類だけです。そして、細かな温度管理をしながら行うテンパリングという作業によって、カカオバターを安定した結晶にする事で、常温では固くて長期保存がきき、食べる時は滑らかな口溶けの、良質なチョコレートになります。そうすると、劣化も少なく長期保存ができるようになります。シンプルな材料だけで、繊細な作業を伴うので、作るのは凄く難しいのですが、余計なものが一切入らない、オーガニックなものを目指したかったのです。
ウイズタイムは公益事業なので、ココで作られたチョコレートを販売して得た収益は、全て利用者の工賃に充て無ければいけません。うちのビーントゥバーチョコレートは、チョコレート好きの方からは「このレベルのチョコレートだと800円はとっていいんじゃない?1000円でもいいんじゃないかな。」なんて言われたりするのですが、利益を上乗せして販売していないので、価格は300円です。

作り始めた時は、私も職員も「えっ、300円もするの?」「コンビニに行けば100円で買えるのに?」といった感じでした。実際、最初に一口食べてみた時は「えっ、これ、あんまり甘くないね。」「普通の板チョコの方が美味しいんじゃない?」みたいな話もあったぐらいです。だから、その時は300円という値段がギリギリの設定だと考えていました。それ以上安くすると利益が出なさ過ぎて工賃の原資にならないのです。最近では、新たな商品として、「チョコチップクッキー」や、チョコレートの原材料となるカカオ豆を砕いただけの「カカオニブ」と、それをハチミツに漬けた「ハチミツニブ」なども作っています。一番新しいのは、丸のままのカカオ豆やナッツをカラメルでコーティングした「キャラメリゼ」で、これも大人気です。

ビーントゥバーチョコレート1
ビーントゥバーチョコレート2

Q:カカオ豆のキャラメリゼとは?

現在ではウィノワーという、ローストして砕いたカカオ豆を、風の力で軽い皮とカカオニブに分けてくれる機械を導入しているのですが、始めた当初はそんな便利な機械はなく、細いペンチを使って一粒一粒手で皮を剥き、それを砕いてカカオニブにしていました。その手剥きのノウハウが元々あったので、カカオ豆のキャラメリゼは難なく作ることができたのです。今では、カカオニブとキャラメリゼ用のカカオ豆だけ手剥きを続けています。チョコレートを作るための工程では、機械で砕いたカカオ豆をウィノワーを使って皮とカカオを分離して、リファイナーという電動の石臼で10時間程すり潰しています。カカオ豆は産地によって大きさが全く違ったり、?きやすいのと剥きにくいものもあったり色々なんです。もちろん味わいも違いますしね。

Q:カカオ豆の産地による違いは?

ビーントゥバーチョコレートは、カカオ豆ときび砂糖だけで作られているので、カカオ本来の風味を味わうことができるのですが、なかでも、一種類のカカオ豆で作られる「シングルオリジン」は、生産された土地による風味の違いも楽しめます。

ウイズタイムで使っているカカオ豆は、サンフランシスコ発祥のビーントゥバーチョコレートファクトリー「ダンデライオン・チョコレート」さんから仕入れています。現在扱っているのは、グァテマラ産とホンジュラス産のカカオ豆ですが、以前はベリーズ産も扱っていました。ベリーズ産はフルーティーな酸味が特徴の豆で、酸味は少なくビターなチョコレートになるホンジュラス産との食べ比べがオススメだったのですが、ベリーズ産が一時輸入ストップされるという事で、現在はグァテマラ産を使っています。グァテマラ産も少し酸味のある、とても美味しいカカオです。

最初は普通のチョコの方が美味しいと感じられるかもしれませんが、苦みや酸味、渋み等が強く感じられて敬遠されがちなブラックのコーヒーやフルボディの赤ワインと同じで、食べ慣れることで、美味しさや産地による味わいの違いが感じられるようになってくると思います。
とある喫茶店の方から、うちのお店でコーヒーのアテとして出したいから、小分けにして販売できる商品を出してくれないかといった話しもありました。コーヒー豆や焙煎にもこだわりのあるお店なのですが、たまたまうちのチョコレートを食べてもらって、これはコーヒーに合う!と感じていただけたようです。ワインやウイスキーにも合うとおっしゃっていただく事も多いので、これまでとは違った販路にも、製造の能力が追い付けば広げていきたいです。

グァテマラ産カカオ豆
グァテマラ産カカオ豆

Q:就労継続支援B型事業所でビーントゥバーチョコレートを作り始めた理由は?

就労継続支援B型事業では、自分の障害や症状にあわせて、無理をしない範囲で比較的簡単な軽作業を行うことが多いので、どうしても利用者の「工賃」が低くなりがちです。「ウイズタイム」では、できるだけ高い収益をあげて、利用者の方に「工賃」を沢山払いたかったので、安売りしなくてもよいものを作りたいという考えから、ビーントゥバーチョコレートの製造を始めました。こういった福祉サービスでは、障害者が作っているから何とか買ってくださいといったように、限られた範囲で売って回るという事が多いのですが、「ウイズタイム」では、それはやりたくありませんでした。一般の方に普通に買って頂いて、美味しいからまた買いたいと思って頂けるものを作りたいと考えていました。そして、こういった作業所でさまざまな障害を持っている方が作っているということは、後付けで知って頂ければ良いのではと思っています。だから、商品の販売をしている「あちこち屋」でも、「ウイズタイム」の事は前面には出していません。とにかく商品の力で売り出したかったのです。

とはいえ、実際に作り始める際には、こんな複雑で繊細な作業ができるかな?という心配もありました。この作業はこの人には無理という事も実際あるのですが、利用者の方をどうやってフォローすれば出来るようになるか、新しい道具を作って使い方を工夫すれば作れるようになるか、といったように、現場にいる職員たちは、いつも頭を悩ませながら支援をしています。「あの人にこれをやってもらいたいけど、どうやったらできるかな?」とか「やっぱり失敗しちゃったね」といった事の繰り返しです。チョコレートは、失敗しても、もう一回溶かしてやり直せるので、捨ててしまうという事はありません。「ウイズタイム」所長の木村は「チョコレートと人生は、何度でもやり直せる。」なんて名言みたいなことを言ってます(笑)。

作った商品を販売している「あちこち屋」で店員をしている職員も、週に2日は「ウイズタイム」で作業支援を行っているので、利用者と一緒に作った気持ちも持って行って販売をしてくれています。そして「あちこち屋」で頂くお客様からの評判の声なども、持ち帰って出来るだけ利用者に伝える。そうした利用者と社会とのつながりが大事なんです。

あちこち屋1
あちこち屋2""

Q:「あちこち屋」は何屋さん?

「あちこち屋」をオープンした当初は、何も看板を出していなかかったのですが、「あちこち屋って、何屋かわからないじゃん」とアドバイスをして下さる方がいらっしゃって、「チョコレート売ってるんだから、チョコレート屋で良いんじゃない」という事になりました。確かに「チョコレート屋」と書いてあったら「ん?」と気になりますよね。通りすがりに興味をもってチョコを買ってみたら、思った以上に本格的で驚いた、なんてお客様も多いようです。

お店の看板や内装などは、全て職員に任せています。必要なものがあれば買って良いから、全部あなたのセンスでやってくださいと。店内のインテリアやポップも手作りで、店頭の黒板にも手書きイラストを描いたり、それらをSNSで配信までしてくれています。おかげさまで、商品もお店も好評を頂いていまして、リピーターも増えています。先日は、タレントさんがぶらり途中下車する番組で立ち寄ってもらいました。番組で紹介された「ハチミツニブ」が、放送後にとても人気が出て、作っても作っても品不足という事もありました。お客様がSNSでお店や買った商品を紹介して下さることも多いようです。ありがたいことに、そうやって地道に評判は上がってきていると思います。

あちこち屋3
あちこち屋4

Q:店のあちこちにある赤鬼の写真は?

「ウイズタイム」所長の木村扮する「鬼村さん」ですね(笑)。「ウイズタイム」や「あちこち屋」の周辺に出没しています。私としては、なんで赤鬼なの?という感じですが。この間は青鬼にもなっていました。正確には、アラジンと魔法のランプのジーニーだったようですが(笑)。そこまでなら良いのですが、クリスマスのイベントではマライアキャリーをやりますというので、それはやめてくれ、法人の品位が問われると言ったのですが、押し切られてしまいました。面白い事に、案外「赤鬼」が気になって来てくれる方がいらっしゃるんです。節分の時には街中を歩き回ったりもしていました。あの辺にいくと鬼村さんに会えるといった情報や、Instagramでの鬼村さんに質問コーナーとか、そんなものに需要があるのか?と思っていたら、どうやらあるらしいんですよ(笑)。地域の子供たちはもちろん、その親御さんも喜んでるみたいです。

鬼村さん1
鬼村さん2

Q:ウィズタイムのこれからは?

コロナ禍になる前には、土曜日の「ウイズタイム」でランチ営業のカフェ。月に一回だけは、夜にお酒も出す酒屋営業もやっていました。利用者が注文を取って、提供、片づけと、店員としても働きます。カフェの看板が出ていたので、お散歩中に寄りました、なんて高齢のご夫婦がいらっしゃったり、幼稚園のお子様を連れたお母さま方達がいらっしゃったり、地域の方々と直接繋がる機会でもありました。

ウイズタイムでは、健常者も障害者も、お子様もお年寄りも、障壁なく繋がれる世界を目指しているのでコロナが落ち着けば、どこかで復活させたいなと思っています。

兼俊 亮さん
ウイズタイム

Q:練馬、大泉学園エリアの魅力

農業と福祉を連携する動きがさかんだったり、練馬区は都市農業にとても力を入れている区だと思います。農地があるという事は自然があるという事。自然と緑が豊かで、住みやすい所ですね。「ウイズタイム」の期間限定商品に「オレンジピール」があるのですが、原材料となる夏みかんは地元の方に頂いています。農家の方が育てているものではなく、庭先に沢山なっている一般のお家に行って「それもらえませんか?」といった感じで頂いています。「ウイズタイム」がある大泉学園町の大部分は、街の緑が維持された「風致地区」なので、庭木の緑もとても豊か。庭木の夏みかんが食べきれないぐらいなっていたりします。

大泉学園エリアは、古くからの住宅街で、風致地区という事もあって、広いお屋敷が多いですが、最近はマンションや分譲地も増えて、若いファミリーも多いですね。大きなスーパーや公園も多いですし、やっぱり暮らしやすい街なのだと思います。

この近くにも大泉中央公園という大きな公園があるのですが、とても良い公園ですね。起伏のある広い敷地に、豊かな木々、広い芝生の広場やアスレチックなどの遊具も揃っているので、季節の良い時の利用者のレクリエーションは大泉中央公園率が高いです。利用者と一緒にボール遊びとかバーベキューを楽しんだりします。お花見なども楽しめる場所が沢山あるのですが、コロナでしばらく行けなかったのが残念です。大泉学園町には大江戸線の延伸計画もあるので、実現すればさらに住みやすい街になるのではないでしょうか。

HOUSE

人との距離感がほどよい練馬区で
未公開物件をさがす
無料会員登録はこちら
CLICK

練馬区のオススメ物件ご紹介!